コーティングの経時剥離
コーティングの経時剥離
コーティング施工後、写真の様な剥離が発生する場合があります。
膜が浮き上がって剥離する現象です。
写真の膜はDLC-EXで、ツールマークのある鉄系基材表面に成膜したものです。
黒っぽい箇所は成膜されていますが、白っぽい箇所は膜が剥離して基材が露出しています。
この様な表面は特に剥離の可能性が高くなります。
コーティング炉から出て、すぐ剥離発生する場合もありますが、
数時間以上経ってから発生する場合もあります。
散発的に発生することも厄介です。
前回のブログでも書きましたが、
PVDコーティングは基材に乗っている状態であり、
膜には内部応力が発生していますので、界面での密着が弱いと剥離が発生します。
オンワード技研では、密着力確保のために前処理で磨きやショットブラストを行い、
洗浄後基材表面に変色やクモリのないことを確認、
最終的に、コーティング炉内でArイオンエッチングにより酸化膜除去クリーニングを行います。
しかし、Arイオンの当たりが弱くなる箇所(一方向から光を当てると影ができる箇所)で、
ツールマークのような深い凹がある場合は剥離の可能性が高くなります。
基材の表面粗さを向上させることも剥離リスクを減らすことになると思います。
密着不良となる基材表面状態の発生リスク
基材表面状態のリスクと考えられるのは、
- 製品の切削・研削加工時の熱による酸化膜の発生
- 保管時
- 輸送時での錆等
が考えられます。
PVD膜を安定して使うには、平滑で清浄な基材表面が基本となります。