イオン源蒸着法によるDLC成膜
前回までは、セラミック系膜(TiN、TiAlN)の成膜方法の説明をしましたが、
<過去記事>HCD TiN(ホロカソード ティーアイエヌ)コーティングの話
<過去記事>ARC TiAlN(アーク ティーアイエーエルエヌ)の話
今回からはDLC膜の成膜についての説明をしていきます。
DLCの特徴
いくつか成膜方法はありますが、当社保有の装置の説明となります。
まず、イオン源蒸着法を取り上げます。
当社製品名DLC-EX、DLC-Prism等を成膜しています。
この装置成膜では炭化水素ガスを原料とするため、水素を含有したDLCとなります。
膜の特徴は靭性の高さ、親水性などがあり、表面の綺麗さは当社のなかでは一番です。
また、汎用性の高いことから、産業界に広く使われています。
(固体原料は蒸発の際、粒状の原料が混入しやすく膜のザラツキの要因となります。)
DLCの成膜
真空炉内「イオン源システム」の内部フィラメントを加熱し(電球の内部のコイル状のようなもの)、
アセチレンやメタンなどの炭化水素系原料ガスを導入します。
するとフィラメントから放出される熱電子で原料ガスがイオン化されます。
これを、電荷を掛けた処理物に引き込んで衝突させることによりDLC成膜します。
方式としてはPCVD(Plasma Enhansed Chemical Vaper Deposition=原料ガスをプラズマでイオン化し処理物上でDLC成膜)に分類されると思います。
DLCのご提案
DLCコーティングは装置や成膜条件で、各メーカーによる個性が強いと言えます。
この膜の一つの特徴である非晶質構造は、TiNやTiAlNと違い、連続した結晶構造を持たない、グラファイト構造やダイヤモンド構造などが混在しており、水素の含有や金属成分添加したものもあります。
「どこのDLCも同じ」というわけにはいきません。
基材材質・使用目的・使用環境などでの考慮が必要となります。
オンワード技研では、お客様のそのような情報を踏まえ、最適なDLC膜をご提案させて頂きます。
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