HCD TiN(ホロカソード ティーアイエヌ)コーティングの話
HCD方式 TiN
オンワード技研には、HCD(ホロカソード)という方式のコーティング装置が2基あり、TiNコーティングを行っています。
TiNは、硬さと密着力のバランスに優れた、鉄系加工に適用する汎用性の高い膜種です。
(DLCは、平滑性に優れ非鉄加工に使われます。)
この装置は操作が難しいところや、合金膜が成膜できないことにより、減少している方式ですが、
膜質はきれいで、根強いファンがいます。
HCD方式について
HCD方式を簡単に説明しますと、真空炉内のハース(るつぼ)にチタンをセットし、アルゴンガスを原料にHCD(中空陰極放電)というシステムでプラズマ電子ビームを発生させ、チタンを溶解。蒸発したチタン、周辺の窒素をイオン化します。
これをマイナスの電位を掛けた処理物に引き込んで成膜する方式です。ややこしいですね。
HCD方式の長所は、Tiの表面を広範囲で溶解し、蒸発したTiをコーティングに使うため、
表面のザラツキ(凹凸)が少ない膜質のきれいなTiNができることです。
下部写真は HCD TiNと、もう一つの代表的なArc方式のTiAlNとの比較です。
HCD TiNの方はザラツキが少ないです。(乱反射により白い点に見る箇所です)
*見やすくするため、TiNは色調整しています。本来は金色です。
Arc TiAlN (500倍)
HCD TiNの用途
この膜質の特徴をいかして、樹脂成型金型や、仕上げ用の工具に使われています。
通常膜厚2μmですが、小型金型や小径工具向け1μmの仕様もあります。
次回はArcについてお話します。
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