酸化温度の話
酸化温度とは
今回のテーマ「酸化温度」は、膜が大気中で加温されることにより、
酸素と反応を起こしたり、構造が変化する温度のことを指しています。
生産加工で、この酸化温度が上がる要因は2つ考えられます。
(1)工具や金型の加工時、接触している箇所に摩擦熱が発生して温度上昇する。
(2)樹脂やガラスなどの加工物を温め、塑性変形しやすくしてから加工する場合、
金型の昇温、熱伝導により温度上昇する。
このような温度上昇で、膜が変質することがあります。
Ti、Cr、Alのセラミックス膜の酸化
Ti(チタン)やCr(クロム)Al(アルミ)のセラミックス(金属化合物)膜の酸化は、以下のような現象が起きます。
(a)Ti、Cr、Alの窒化膜は軟化または脆化が起きます。
(b)加工物の表面も軟質化や流動化し、工具、金型に凝着(付着)しやすくなります。
膜と加工物が合金化することもあります。
(c)工具、金型の材質自体に、熱応力による割れが起きる場合があります。
DLCコーティングの酸化
DLCコーティングの酸化は、炭素成分が酸素と結合して炭酸ガス(二酸化炭素)や、ススの構造に急激に変化します。
金属化合物の膜よりも使用時の温度管理はシビアになります。
今回のまとめ
加工での表面温度を測定することは難しく、「実加工での寿命効果確認、加工後の工具、金型表面観察からの推測、ユーザーからの使用感」から、摩耗、親和性、酸化温度のどれが加工障害となっているかの判断となります。
最初の膜選択の時点で、上記の現象の絞り込みまで判明していればベストですが、
そうでない場合何が悪いのか?を掴むことが重要だと思います。
当社では多くの実績によるデータがありますので、
「この事例はどうなの?」とお悩みの方は、お問合せください。
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